法律お国事情~台湾篇~ 第1回配信 親権 (1)
冠婚葬祭という言葉がありますが、結婚は人生の一大事です。でも、その一方では、離婚のことで相談に来られる方も少なくありません。中国では「勧合不勧離」と言って、離婚を勧めるのは昔から嫌がられています。法律事務所としては、他人の家庭の不和を種にしてお金を儲けているといわれては、言葉の返しようもないところです。しかし、その婚姻が本当に不条理なもので、人としての生存の意義すら脅かされるというのであれば、何とかしなければなりません。
それにしても、特に国際結婚では、何かとてもロマンスなことと感じられるのか、そのため見極めるべきポイントがよく把握できず、十分な決意と、周到な計画、準備もなく、そそくさと共同生活に入るようなケースもあります。それでも、愛情が続けばよいのですが、カルチャーショックの連続で疲れ果て、挙句に離婚を言い出すだけでなく、財産の取り合い、子供の奪い合いといった泥沼の様相を呈すると、私たち法律事務所としても、いたたまれない気持ちになります。
“冠婚葬祭”ではなくて“簡婚相殺”とでも言いましょうか、簡単に始めてしまった婚姻を、「お前(あんた)のために無駄にした時間と心の痛みをお金と子供で相殺しろ」と相手に清算を迫るケースもたまに見かけます。
閑話休題
子供を保護し、監督、教育する権利の総称を親権といいます。日本と台湾では、この親権という言葉の使い方、ニュアンスが若干異なります。どちらも漢字を使う国ですが、実際の使用状況に違いがありますので、十分気をつけてください。
【日本における親権】
親権とは、親に対して法的に与えられた権利、義務の総称です。それは、社会的であって、経済的な性質を帯びるものです。具体的には、主に次に掲げる権利、義務を包含しています。
- 1.監護教育権
- その名のとおり、子供を監護し、教育する権利、義務。
- 2.居住指定権
- 子供の居住する場所を指定して確保する権利、義務。
- 3.財産管理権
- この場合の財産は、子供の財産です。
- 4.法定代理権
- 親が法定代理人として子供の法律的行為を代わって行う権利、義務。
(日本国民法第二節 親権の効力 第820条以後参照)
そして、これら権利、義務は、子供が成年に達した時点で、消滅します。
関連する法律には、民法以外に、児童虐待防止法、学校教育法、精神保健福祉法などが挙げられます。
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