法律お国事情~台湾篇~ 第1回配信 親権 (2)
【台湾の場合・・・親権と監護権】
「親権」について、台湾では民法に規定されていますが、どうも一般に浸透していない言葉のようです。一般には、よく「監護権」といっています。例えば、メディアなどでもよく見かけ、台湾の人にはなじみの深い言葉です。つまり、台湾では、「親権」について話し合いをする場合、「親権」というべきなのに、「監護権」と表現する風潮にあります。
そこで、先ず台湾の権威ある“国語辞典”で調べてみました。
親權:父母對於未成年子女有保護教養的權利義務,稱為「親權」。
(父母が未成年の子女に対して有する保護、教育の権利、義務を「親権」と称する)
監護:法律上指對未成年人及禁治?人、盡監督保護之責、以確保其人身、財?及其他一切合法權益的安全。
(法律上、未成年者及び禁治産者に対して、監督、保護の責任を尽くし、その人身、財産及びその他一切の合法的権益の安全を確保すること)
こうして見ると、台湾でいう「親権」と「監護権」は、似ているようで、必ずしも一致するとは限らないように思えます。
【台湾民法の親権】
次に、台湾の民法を調べたら、次ぎのことが分かりました。
台湾の民法では、第1084条から第1090条にかけて「親権」について規定しています。そして第1091条から第1109條では「監護権」について規定します。この「親権」にかかる規定は台湾の民法「第3節 親族」の範囲に含まれています。
(以下、訳文のみ掲載します)。
第1084条(親権(一)---孝行、保護及び教育、養育)
1、子女は父母に孝行しなければならない。
2、父母は未成年の子女に対して保護、教育、養育の権利、義務を有する。
第1085条(親権(二)---懲戒)
父母は必要な範囲内において子女を懲戒することができる。
第1086条((親権(三)---代理)
1、父母は、その子女の法定の代理人である。
5、父母の行為が未成年の子女の利益に反することによって、法に基づき代理することができない場合、裁判所は、父母か、未成年子女か、主務官庁か、社会福祉団体か、もしくはその他利害関係者の申立て、または職権によって、子女のために特別代理人を選任することができる。
第1087条(子女の特有財産)
未成年の子女が、相続、贈与、もしくはその他無償で取得した財産を特有財産とする。
第1088条(親権(四)---子女の特有財産の管理)
1、未成年の子女の特有財産は、父母が共同して管理する。
2、父母は未成年子女の特有財産について、使用し、収益を得る権利を有する。但し、子女の利益とならない場合は、処分してはならない。
第1089条(親権の行使と負担)
省略
第1089条の1(未成年子女の権利、義務の行使または負担に関する準用規定)
省略
第1090条(親権濫用の禁止)
父母の一方が子女に対する権利を濫用した場合、裁判所は、父母の他方か、未成年子女か、主務官庁か、社会福祉団体か、もしくはその他利害関係者の申立て、または職権によって、子女の利益のために、その権利の全部、もしくは一部の停止を宣告することができる。
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